大手人材会社が再就職支援領域を拡大:人材業界目線で景気の危機感衝撃を解説します

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人材大手、再就職支援相次ぎ拡充@日経新聞

2020年1月17日の記事です。

見出しは「人材大手、再就職支援相次ぎ拡充 希望退職の募集増加で」とのこと。

このニュース、周囲(人材業界に身を置く人たち)では結構な衝撃を持ちつつ、「いよいよ来ちゃったか…」という感想で一致しました。

私も早速、「転職活動するなら急いだ方がいいよ」という趣旨の発言をしました。

が、友人より、「人材業界にいないとニュースと結論の繋がりが分かりにくい」と指摘を受けたため、その間の繋がりを解説してみますね。

風が吹けば桶屋が儲かる理論なんだが、確かに間をすっ飛ばしている!友が優しい。

 

論点は下記3つです。

  1. ①なぜ景気と連動することになるのか
  2. ②なぜ転職活動するなら今年4月入社目指して急いだほうがいい、という結論になるのか
  3. ③なぜこんなにも衝撃大きいのか

なぜ転職を急いだ方がいいと思うのか?

「転職するなら4月入社目指そう」の背景には複数の要因があります。

  • 1〜3月の年度末は、採用繁忙期で求人数が増える
  • 景気≒新規採用は落ち目になっている(人材会社の動向より)

前者は景気関係なく、年間通しての相対的な動きです。特に社員求人ですね。

後者は今回のニュースもそうですが、まあ、少し前から言われてきてますからね。

 

双方を勘案した時に、「市況を味方につけて転職活動したいなら、4月入社を目指して今動いたほうがいいよ」という発言になります。

 

しかも、4~6月はただでさえ求人数が減るんですね。

こちらも年間の相対的な動きなんですが、新年度は「新卒」入社で社員数が純増したり、異動・昇格を含む社内人事も年間で一番活発なため、この時期に新規で増員採用ってしない傾向なんですよ。

更に加えると、年度明けてからは企業側も新たな人員計画で採用活動しますよね。

景気は落ち目なので、「新たな人員計画」に則ると、明らかに前年度よりも新規採用数は減るはずなんですよ。

 

以上より、来年度以降は転職難易度も上がると想定しています。

 

不景気に対する、半年前の消極的な対策/現在の積極的な攻め口

半年ほど前、”大手人材会社”は軒並み、自社中途採用を控える動きをしていました。

これが何を意味するかというと、景気減退の現実味が帯びてきてるんですね。

なぜなら人材系企業は、経費はほぼ人件費で利益率は高く、その上労働集約型だから、儲かる時には人員を大量採用するんですね。

にも関わらず、採用を減らした=儲からない判断=採用企業が減る兆し=景気悪化懸念のフラグ立つんですよ。

風が吹けば〜の裏側はこの流れになります。

 

そして時が経過しての現在、「再就職支援領域を拡大!」という動きになったと。

人材会社が好景気に儲かるのは分かりやすいと思いますが、不景気時にどうやって踏ん張るかといいますと、この「再就職支援領域」なんですね。

「採用一名で手数料」が好景気時の人材紹介ビジネスならば、
「退職一名で手数料」が不景気時の再就職支援ビジネスなんですわ。

上記の人材会社の売上特徴を踏まえると、半年前と現在とで状況が違うわけです。

 

【自社の中途採用控える】ことに対しては、「不景気に備えて様子見しながら消極的に準備してるな…」という所感だったのが、

【再就職支援領域拡大】となると、「おまえ!!”不景気”に対して全ベッドしてきたな!? 儲かると踏んだな!?」という衝撃に変わるんですね。

この違いです。

少し踏み込んだお話:人員編

とはいえ、人材会社全体としても「不景気」なのは変わらないし、「好景気」のときのほうが会社としては間違いなく儲かる業種です。

めちゃくちゃ景気変動の煽りを受けちゃう業界なので…。

そのため、「再就職支援領域の拡大」といっても、外部から新規採用はあまりしないんじゃないかな?

好景気時には活躍するけど不景気時には不採算部門になりがちな、「求人広告」「人材紹介」の部門部署から、社内の人間を異動させるのが多いんじゃないかな?

と想像を巡らせているのが記事読んでの感想。

担当者を1割増やすというのも、純増ではなく社内異動で賄うのでは?

少し踏み込んだお話:部署部門編

尚、景気が落ち目になってきた時、下記の順番で影響を受けていきます。

  • 前課金である求人広告
  • 成功報酬型の人材紹介
  • 人件費削減セットの再就職支援

採用企業が、前課金な上に結果が不透明な広告を使わなくなり、確実な人材紹介に切り替えるのが初動なんですよねえ。

広告、本当出してくれなくなりますよね…。
紹介先求人、本当消えていきますよね…。

リーマンショック時に広告/求人部門に在籍していた方々はあまり思い出しくないのでは。

 

ちなみに、平均年齢が若い印象の人材業界ですが、再就職支援領域の主力は「別会社!?」とつい口に出してしまうほど年齢層高めです。そりゃそうだ。

 

何をどう備えればいいかは考えものですが、この確実に後くるだろう景気の落ち込みに対して、心の準備はしておきましょう。

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