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転職エージェントは「土日も面談すべき」論
「転職エージェントは土日も面談すればいいのに」という主旨のツイートを見かけました。
ユーザー側からすると不便だろうし、土日も面談してくれれば転職活動しやすくなるのに、もっと利用者も増えるのに、と感じる気持ちは分かります。
ただ、転職エージェントで「面談をしてた側」からすると、多くのエージェントが土日面談をしていない合理性にこそ納得できるんですよ。
どういうことか、少し詳しめに解説してみます。
実際に土日対応している転職エージェントは?
まずは情報確認です。転職エージェントは本当に「土日対応していない」のか?
大手どころの面談時間をまとめてみました。
ほとんどのエージェントが日祝対応不可、土曜日は定時内で対応可能のようです。
目立つのはリクルートですね。さすが業界の雄、土日も稼働しています。
とはいえ、平日ほどの面談時間は確保していないようです。土曜日対応している各社も同じ傾向ですね。
土日も平日くらいの対応時間に拡大したり、各社とも日曜日も対応すれば裾野が広がるはずなのに、なぜ大手転職エージェントは対応しないのだろうか。怠慢??
サービス名 | 平日 | 土 | 日 |
リクルートエージェント | 9:30 〜20:00 |
9:30 〜18:00 |
9:30 〜17:00 |
doda | 9:00 〜20:30 |
10:00 〜18:30 |
× |
マイナビエージェント | 9:30 〜20:30 |
9:30 〜17:30 |
× |
パソナキャリア | 10:00 〜21:00 |
10:00 〜18:00 |
× |
JACリクルートメント | 9:30 〜19:30 |
応相談 | × |
Spring転職エージェント | 9:00 ~20:00 |
応相談 | 応相談 |
アクシスコンサルティング | 9:30 〜20:00 |
応相談 | 応相談 |
尚、「応相談」の意味合いについては、追って翻訳いたします。
転職エージェントが土日面談を避けたい理由:転職決定率が低いから
一言で言うと、「土日面談を希望する人の決定率は低い傾向だから」に尽きます。
土日面談を希望する人は、大体どちらかのパターンです。
いずれにしても、転職活動は進みにくい。
パターン①忙しすぎてマジで土日しか調整できない
転職エージェントとの面談を土日にしたところで、本番の面接は平日昼間が多いです。
面接の調整で難航したり、その間に他の方で決まってしまったり、準備不足でうまくいかなかったり。
そして調整を重ねた1社できれいに内定が出たとしても、「1社だけだと決めきれない」のが人の性なんですよね。
複数社受けて比較検討して決めたいと思えばこそ、面接の調整難易度も上がり、結局「仕事が落ち着いてから再開します」となりがちです。
パターン②平日に面談調整するほど転職意欲は高くない
現場の感覚としては、②の方が圧倒的に多いです。
平日に休みを取ったり、業務を早く終わらせて面談に来るほどの熱量はないけど、一度話は聞いておきたい。
すぐに転職する予定はないけど、いつかするかもしれないし、今後の参考までに情報収集をしたい。
そんな温度感の人たちです。「へー!」と求人情報だけ持ち帰り、音沙汰がなくなる率が高いです。
以上です!
- でも、ユーザー側の利便性を犠牲にしてない?
- 忙しい人にこそ、土日面談をしてサポートしてあげたらいいのでは?
- 今は転職する気がなくても、土日面談で裾野を広げて将来のお客さんにすれば?
…といったツッコミが聞こえてくるので、もう少し続けますね。
なぜ「決定率が低い」ことを気にするのか?
実は、転職エージェントのビジネスモデルが関係しています。
転職エージェントのビジネスモデルは、「成功報酬型」であり「労働集約型」
なぜ「決定率」を気にするか=決まりにくい面談を避けたいかというと、転職エージェントのビジネスモデルが「成功報酬型」だからです。
要は、転職が決まらないと売り上げにならないのです。
「成功報酬型」のビジネスモデル
転職エージェントに登録した人が、紹介した取引先企業の求人の選考を受けて・内定をもらい、
入社が決まった時に採用企業がエージェントに「紹介手数料」を支払う、「成功報酬型」のビジネスモデルです。
転職をするために使う「個人」の利用は無料です。
採用企業も募集をするだけなら支払いは発生せず(※)、採用時にのみ紹介手数料が発生します。
不動産の仲介も近い仕組みですよね!
※厳密には手付金が発生するヘッドハンターもありますが、今回は汎用化するため除きます。同じ「人材紹介」でも異なる世界です。
裏を返すと、「決まらない限りタダ働き」な仕事なんです。
どんなに担当した候補者が優秀で受けた企業全社から内定取ろうが、現職に残る決断をしたり、自社エージェント経由以外で受けた企業に転職を決めたら、売上はゼロです。
- 面談したけど転職活動をするに至らなかった
- 転職活動を開始したけど日程調整ができず面接受けられなかった
- 明らかに希望と経歴がマッチしていない求人ばかりを希望され全てお見送りになる
などなど、これら全てが「売り上げゼロ予備軍」なんですね。
売上にならない可能性が高い人を対応するのは、単純にリスクが大きいのです。
「労働集約型」のビジネスモデル
しかも、転職エージェントを筆頭に、人材業界はほとんどが「労働集約型」でもあります。
売り上げ=社員の稼働数に近いです。
上記を総合すると、「決まりやすい人を優先対応して」「たくさん数をこなす」が王道となります。
売り上げが0 or 100なので、「決まらない」と判断したら、撤退して別の方を対応するのも必要な行動です。
特に「総合型」と呼ばれる、業界/職種/登録層/求人が幅広い大手の転職エージェントほどその傾向があります。
一定の決定率で損益分岐を担保できれば、あとは営業人員を増やすと売り上げが相関します。THE・労働集約型。
別角度で「人材紹介」のビジネスモデル解説をしているコチラもご一読ください。
「エージェントは信用ならん。金のために人を売る」みたいな発言は定期的に盛り上がりますが、むしろそれが出来たら苦労しないのよ(笑)。
転職エージェントの面談は「平日の夜」がピーク
分かりますよ。
忙しいからこそ、貴重な休みや有給は「本番」に取っておいて、エージェントとの面談は土日に回したい気持ち。
しかしなにも、「会社休んで面談に来い!」と言ってるわけじゃないんです。
転職エージェントの繁忙は平日夜で、17時〜21時が面談を詰め込まれるピークの時間帯です。
だいたい17時過ぎくらいから、「今日も1日頑張るぞ!」と気合を入れてた記憶があります。(みゆきちは元・転職エージェントです)。
就業中の方の面談は、平日定時以降がほとんどです。
そりゃそうですよね。皆さん、仕事が終わってから=定時以降に面談に来ますから。
ちなみに平日お昼の面談は、接客・サービス・不動産業などの平日休みの方か、離職中で終日時間を問わず転職活動に割ける方の利用が多いです。
それでも土日に面談したい方のために
「一切やってない」わけじゃないです。
大手でも土日稼働してるエージェントはありますし、事情によっては個別相談で調整してくれるケースもあります。
土日希望が通りやすいのは、転職が決まりやすい人
冒頭の一覧表における「応相談」がそれにあたります。
身もふたもない話ですが、「土日希望でも会うべき経歴の人」ならば、担当の判断で土日面談=休日出勤することだってあります。要は、土日面談を避けたい理由を覆すほどの方ですね。
具体的には、専門職かつ採用需要がべらぼうに高い方や、一刻も早く転職先を決めたいけど激務な方、すぐに動かなくても本人さえ「転職する気」になれば直ぐ決まるだろう経歴の方。などが該当します。
私が働いていた当時だと、建築施工管理で資格持ちの方は、「土日、、、やむなしです、、、!」と休日出勤も厭わずに面談してました。
だって彼ら彼女ら、超絶忙しいし、市場の需要高すぎるし、知人の紹介で決まることも多いからエージェント登録されたら面談機会を絶対に逃したくない!
企業も喉から手が出るほどほしい、採用難易度が高い職種の一つです。
閑散期は登録ハードルが下がるので狙い目
そこまでピンポイントな専門職じゃないけど、正直、「ちょっと話を聞きたい」「でも土日がいい」温度感であれば、転職エージェントの閑散期を狙うのも一つの手ですよ。
具体的には4〜5月、8月、12月あたりでしょうか。比較的暇です(でした)。
採用が落ち着く時期なので、転職エージェントへの登録者も普段より少なめなんですね。
一方で、閑散期でも繁忙期でも売り上げ目標は追わなきゃいけません。
転職意欲が低そう/絶対に土日希望だったとしても、可能性を探り種まきをするために、一度面談をしようという判断に至りやすいです。
この判定基準が下がりやすいのが、閑散期なのです。
土日希望に限らず、「じっくり話を聞いて欲しい」「過去に求人がないと断られたけど再登録してみたい」という方も、閑散期は狙い目です。
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キャリア支援者に知ってほしい「人材紹介」の基礎知識
今回は「転職エージェント」と聞いて多くの方がイメージしやすい、「総合型の人材紹介」での話を前提に解説しました。
転職エージェントそのものの基礎知識は、noteでも解説しているので関心をお持ちの方はご覧ください♪
※キャリア支援者に向けた解説となります。転職希望の方には少し合わないかもしれませんが、人材業界への転職をお考えであれば業界理解に役立てる内容です。
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上記の解説noteも、過去に勉強会で扱ったテーマです。
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